星と香り

過去の自分を癒す

毎年1年に1回ほどお会いする10年近いお付き合いのクライアントさんがいらっしゃいます。絵本を作ったり、ホームページのデザインをされたりするデザイナーさんです。

いつもお誕生日近くで、来年はどんな年にしようかと考えるセッションをしてきましたが、今年は20才の自分がどんなだったかをチャートで見たいということになりました。

60才になるご自身が、なぜ自分の表現活動に自分で制約をかけているのかを知りたいと考えている時に、20才の美大生の自分の体験をふと思い出したそうです。すっかり忘れていたけれど、あらためて20才の自分の星回りがどんなだったかを観たいというご依頼でした。

大学生活には良い思い出がないし、すごく暗い顔の自分がいるのです。とお話されていました。実家の家業が廃業になるかもしれない不安定な中、食べていくことと芸術活動との間で揺れる20才の女性の姿がありました。忘れていたけれど、今ならアカデミックハラスメントになるような体験もされていました。今の自分が20才の自分の肩を抱いて、そんなに暗い顔をしてはだめよ。と言ってあげたいと。

チャートにはその時が刻まれ、一生懸命に生きた痕跡がありました。

アロマオイルを一滴。その時の自分につけてあげるとしたら。そうして選んだ一滴の香りを20才の自分に届けます。

自転車に乗って、図書館に行ったことを思い出されたそうです。その時に感じた風、図書館の雰囲気、お友達たち。学祭の時期に遠い家から送られてくるりんご。「悪いことばかりではなかった。」その時の自分はそれが精一杯だった。

香りとともに深い納得。

もちろんこれからは、生活のためだけではなく、もっと自分の表現を追求していくことになるのでしょう。20才の自分があったから。あの時を乗り越えたからできる今。楽しみです。人生は良く生きようとする人のためには、ほんとうに素晴らしいギフトを用意してくれます。そんな瞬間に立ち会えるこの仕事が本当に好きです。

現在、個人セッションは完全紹介制で、新規の受付はしておりません。