五頭龍と天女 江の島縁起
2024年令和6年は波乱の幕開けとなりました。
能登半島地震で被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
一刻も早くすべての方に救助の手が差し伸べられ、安心した暮らしに戻れることをお祈りするばかりです。
20歳そこそこだった頃、友人と能登半島一周バス旅をしたことを思い出します。
私の住む地域には、サザンオールスターズの歌で有名な江の島があり、『五頭龍と天女』のお話が残っています。
昔、この辺りには頭が5つある粗暴な龍が住んでいて、悪さをしていました。
お母さんがおんぶしている子供を食らったり、作物を荒らしたり、住民は大変に困っていました。
ある時、沖の江の島に天女が降り立ちます。その天女に恋した五頭龍は、夫婦になってほしいと懇願します。
天女は改心したら、夫婦になりましょう。と龍の願いを聞き入れます。
それから龍は行いを改め、村を守るために山になりました。その龍の口にあたる場所には、龍口寺というお寺があります。
昔は島だった江の島が陸続きになったのは、龍が地震を起こして江の島を持ち上げたからとも言われています。
江島神社のご祭神は三姉妹の神様。仏教習合の時に弁財天として信仰され今に至ります。
天女が龍を受け入れたことで、その力を善きものに変えることができたと、私はこのお話を捉えています。
マルセイユ・タロットのカード『XIの力』を思い出します。
うら若き乙女が獅子を手懐ける絵。柔よく剛を制す絵図から合気道や柔道などに通じませんか？
男性原理と女性原理の『力』。どちらも男女の性別に関係なく人間の中にあります。
目に見えにくい女性原理の力、寛容さ、再生させる力、支える力、この世にしっかりと根を生やす強さなど、考えてみることが必要な時代ではないでしょうか。
マルセイユ・タロットの絵柄に、考えるヒントがいつも隠されています。
私は人間の目に見える性別ではなく、内側の相反する原理の力を統合できるようにすることが修練なのだと考えています。
希望の光に守られた一年となりますように。本年もどうぞよろしくお願いいたします。